防災井戸とは
About

防災井戸とは、災害時に水道が使用できなくなった際に、
生活用水を確保するために設置された井戸のことです。
主に自治体や公共施設、マンション、学校、公園などに
設置されており、地域住民の防災拠点としての役割を担っています。
防災井戸とは、手押しポンプ式の井戸です。最大揚程は50m。
50mの下の地下から毎分30~40リットルの地下水を確保できます。
子供やお年寄りの力でも問題なく取水でき、
停電時においても手動式であるため安心です。
地下構造物のため、
地震の揺れには非常に強いという特徴もあります。
メンテナンスもほぼフリーです。
防災井戸の3つのメリット
- 01 取水量は無制限
- 02 壊れにくい
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03
手動式のため
電気がなくても
使用可能
防災井戸の役割
Role
防災井戸は、災害時の「命の水」を確保するために重要な設備です。
地震や台風などの自然災害が発生すると、水道の供給がストップする可能性があります。
特に、ライフラインが寸断される状況では、
安全な生活用水の確保が
人々の命を守るうえで不可欠になります。
- 01緊急時の水源確保
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災害時は、断水が長引くことも少なくありません。
防災井戸があれば、トイレの洗浄、手洗いなどの生活用水として活用できます。 - 02地域住民の安心感
- 防災井戸が地域にあることで、「いざという時に水が使える」という安心感が生まれます。特に、学校や公園、自治会館などに設置されていると、避難所としての機能を強化できます。
- 03長期的な復旧への対応
- 災害が発生した直後だけでなく、復旧が長引く際にも防災井戸は役立ちます。特に山間部や島しょ部では、復旧までの時間が長くかかる場合があるため、井戸の存在がより重要になります。
防災井戸の重要性
Importance
災害時に必要な水といえばまず「飲料水」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
しかし、戦後始まって以来、災害時に飲料水が手に入らずに亡くなった被災者は0人です。
一方で、トイレの水等の『生活雑用水』が手に入らずに亡くなった方は多数存在し、その数は1,000人を超えていると言われています。
災害時、現場に派遣される医療関係者や防災研究者の間では、『生活雑用水』の重要性は理解されていますが、マスコミなどでの報道の際、「震災関連死」というキーワードでまとめられて報道されてしまうことが多く、『生活雑用水』の重要性についてあまり認知されていないのが現状です。
成人1人が1日に必要な水
避難者が500人いた場合、25mプールの水はわずか4日で使い切ってしまいます。
災害時や緊急時の水源として防災井戸は大きな役割を果たします。
断水(生活雑排水の不足)が引き起こす4つの問題
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- 01災害関連死の増加(血栓症・誤嚥性肺炎など)
- トイレを流す水が無い場合、不衛生なトイレを嫌がり、
水を飲むことを我慢して脱水症状を引き起こすといったケースも多数あります。
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- 02感染症の感染リスク拡大(コロナ・インフルエンザ・ノロウイルスなど)
- 避難所では多くの人が密集するため、ノロウイルスやインフルエンザなどの感染症が広がりやすくなります。これらは手指を介して感染することが多いため、きれいな水で手洗いができない状況や不衛生なトイレは感染症の原因になります。
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- 03精神疾患(うつ病等)や認知症の進行
- 身体や髪を長期間洗えないストレスに加え、避難所の排泄物の臭い等、 避難所のストレスにより、認知症進行やうつ病が発症するのケースもあります。
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- 04治安の悪化
- 水を分けてもらう被災者のふりをして、窃盗を行う泥棒の出現や、水が不足していることによるストレス増大で不満が募り、暴言や暴力といったトラブルが発生しやすくなってしまいます。
防災井戸とさく井協会
And

東北大震災以降、熊本地震を経て当協会が施工した防災井戸は約44ヶ所におよびます。
その経験上、防災井戸を設置してはいけない場所や材料の選定等、防災井戸の
施工経験がない業者では得ることのできない知見を蓄積しております。
(水害に強い防災井戸等)地下水(水文地質学)は非常に高度な学術的知識を要求されるため、
協会が持つ大学の地下水専門家との連携が取れる点も協会の強みのひとつです。
全国のネットワークを活かした防災協定を当協会と結ぶことにより
災害時に日本全国から井戸や地下水のスペシャリストが集結し問題の解決に当たります。
全国地下水データベース
地下水を検討するうえで、最も重要なことは既存井戸のデータです。
さく井協会は毎年全国の会員から井戸の情報を収集し膨大な数既存井戸のデータ(約79,000件)R6年10月現在を蓄積しています。このデータベースを所有しているのは当協会だけです。
掘削予定候補地を選定するにあたって、周辺の井戸の水位や地質構造を知ることにより、帯水層の位置を把握し地下水可能性推察及び掘削予定深度等決定に使用します。
地下水開発が困難な場所は、事前調査でほぼ判断が可能であり、予算の有効活用ができます。
さく井協会の取り組み
Initiative
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防災協定
被災した地域の技術者は自宅の倒壊や家族の安否不明等すぐに現地に集まることは難しいのが現実です。
そのために、協会と防災協定を結ぶことにより、日本全国から技術者の支援が受けられます。熊本地震の時も北海道から3日かけて電気検層車を陸送し多くの水文地質技術者による解析のもと、熊本市上下水道局の被災した井戸の普及に貢献しました。 -
特殊構造ポンプの設置
地下50mから手押しで揚水できるポンプは特殊なシリンダーを使用するため、その設置や掘削には特殊な技術を要します。
当協会にご相談ください。 -
住民に対する防災政策のPR
当協会では施工時に設置するやぐら(10m)に長さ4mの懸垂幕を24時間掲げ、行政の防災に対する取り組みを住民にアピールします。
これも協会独自の取り組みです。
防災井戸の活用例
Case
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次世代型防災井戸水洗式
マンホールトイレシステム貯水タンクや防災井戸の水を、トイレ内の手押しポンプで水を汲み上げ、便器内を洗い流すことができる水洗式トイレ。
災害時のトイレ問題を解決するために開発された災害用水洗トイレです。
使うたび清潔な水で洗い流すから、衛生的で匂いがなく感染症対策にもなります。